『トロプリ』に見る自己肯定感。
トロピカル~ジュ!プリキュアが本当に面白い。
アニメは基本的に一度見れば満足するんだけど、トロプリは毎週ほぼ全話を2,3回は見返してるくらいにハマってる。
歴代プリキュアシリーズの中でもトップクラスに好きな作品になりそう……
人魚のローラが新たなプリキュア、キュアラメールに変身してますます盛り上がりを見せるトロプリ。
その17話のラストでローラが人の姿を手に入れ、「前触れもなく魔法がとけて人魚バレするんじゃなかろうか」「人魚の頃を恋しく思ってしまうローラが描かれるのでは」等々考えていたのだけど……
続く18話の冒頭であっさりと人魚と人の姿を使い分けるローラが映し出され拍子抜けしたり。
とはいえこの18話、トロプリのテーマ『今、一番大事なことをやる』を語るには欠かせない大事な話が描かれている回だったなと。
人の姿を得て、あおぞら中学校に編入してきたローラ。
なんでもできると豪語するローラだけれど、人間の学校生活では上手く行かないことも多く。
さらには得意と誇っていた泳ぎすら、人の姿ではままならず……と四苦八苦する彼女の姿が描かれた18話。
トロプリのまなつ以外のメンバーって、やりたいことがあれど、できない(やれない)問題を抱えているんだよね。
さんごは『やりたいこと』より他人の意見を優先してしまい。
みのりは『やりたいこと』を諦めてしまっている。
あすかは現時点で描写が少なくはっきり言えないのだけど、『やりたいこと』をできない状況に追い込まれた、ではないか。
そして今回、ローラは
『できると思っていたことが、できない』という壁にぶつかっている。
そんなローラを見て頭に浮かんだ言葉が『自己効力感』。
自己効力感とは、自分は出来る人間だ!と自分に対して確信、自信を持っている事を表す言葉。
しかし、自分は出来る!というこの自信は、失敗によってあっさりと失われてしまう『条件付きの自信』でもある。
今回のローラで言うならば「私は泳ぎが得意!」と言った矢先、人の姿では満足に泳ぐことすらできない事実を突きつけられ、落ち込む姿がそれなんですよね。
ローラの過去ははっきりしている部分が少ないから言い切れないのだけれど。
「王女になる」と言う夢を胸に、皆から認めてもらおうと奮起するローラの自信満々な態度は、『条件つきの自信』に支えられてきた脆いものであり。
内心では「王女になれない自分はダメ!」という思いを抱えていて、その裏返しとして表れている態度なのかなぁ…と。
そんなローラだからこそ、まなつの
「ローラと一緒に学校生活ができて、楽しかった」の一言に救われたんじゃないかなと思う。
『今、一番大事なことをやる』のに一番必要なのって、ぶっちゃけて言えば自己肯定感なんじゃないかと思ってる。
人の目を気にしすぎる。
過去のショックな体験をひきずっている。
他人の言動に腹を立てることが多い。
「すべき」に縛られている。
これらは『自己肯定感の低い人の特徴』とよく言われる事柄だけど、こういった事柄がローラ達の言動の端々から見て取れるのは、大なり小なり『自己肯定感の低さ』を抱えているからじゃないかと。ひいては『やりたいこと』をできなくしている要因なのでは……と。
そんな彼女たちをグイグイ引っ張っているのがキュアサマーこと、まなつ。
人の良いところを素直に認めることができ、自分が変わってると言われても気にもせず。失敗しても「ま、いいか」とすぐに切り替えられる。
何より、常にやりたいことで溢れている。
もはや、自己肯定感の塊みたいな存在だよね。
そんなキャラクター性もまなつの魅力なのだけど。何よりも、相手の良いも悪いもひっくるめて全部を受け入れているところが、まなつがローラ達から愛される一番の理由だと思う。
まなつにとっては、泳ぎの得意な人魚のローラも、泳げない人の姿のローラも変わらず、ローラなんだよね。
自己肯定感を高めるために一番必要なのは「自分をありのまま受け入れること」と言われている。
ありのままの自分を受け入れることに不慣れなローラ達の代わりに、まなつがしっかりと受け入れ、支えているのだなと。
そして、支えられながらも少しずつ、自分の力で自然に『今、一番大事なこと』をできるようになっていくさんごやみのり、あすか、そしてローラを描いていくのがこのトロプリという作品なのではなかろうか。
新しいプリキュアも加わったとはいえ、まだ18話。まだまだ始まったばかり。
今後の展開も、本当に楽しみ。